「誰なんだあの夫婦。」
「見たことあるよ。でも名前は憶えてないな。」
そこへあきらが合流する。
「おい、見たか?」
「ああ。一緒にいたの知ってるか?」
「一緒に?あー確か藤岡社長だったな。」
「そうだ藤岡社長!」
「なんでいたんだ?」
「その藤岡社長が知り合いを紹介しているっぽかったな。ちらっと聞こえたんだが、牧野今テーラーをやってるみたいだ。」
「テーラー?ってこれの?」
あきらはスーツの襟を摘んで聞く。
「だろうな。でもスーツじゃなくてシャツらしい。」
「は?シャツぅ~」
「それよりも司だね。相当動揺してるよ。」
類がそう言うと2人も司の方を見た。
「あの梢さんって人は変わりなかったよ。というより動揺した司のサポートをしていた。つまり知ってるってことだね。」
「司の妻なのに知ってて協力か、どういうカラクリだ?」
「まぁ、司があの妻に優しくはしねぇな。でも、普通は精神ヤられるだろ。」
「カラクリは知らないけど、司にはブレインがいるんでしょ。」
「「ブレイン?」」
「前に気に入ってる奴がいるって言ってたじゃん。他所から引っ張ってきたってゆー」
「ああ。」
「事務所って言ってたよね司。何の事務所だがサッパリ予想もつかないけど、きっとそいつが入れ知恵してると思うんだよね。」
3人は再び司と梢を見る。もう司の様子は普段と変わりないようだ。
「動くだろうね。」
「そりゃ野獣だからな。」
「どうすんだ?」
総二郎の疑問は最もだ。なにせ司は既婚者。そんな司をつくしが受け付けるとは思えない。
「どうかするんでしょ。ブレインがいるんだし。」
「そいつに会ってみてえよな。」
「40半ばのオッサンだったよ。あ、今は50くらいになってるはずか。」
「そいつだけじゃなかったりして。」
「そうか!そりゃそうだな。」
「でもま、全てが上手く行かない限りは会わせないだろうね。俺だってそうする。」
「あとどのくらいかかるのかだな。」
「おお、早く前みてーに戻りてぇよ。」
「戻ったら牧野とデートしよ。」
「類、お前まだそんなこと言うのかよ。」
「ん?だって俺たち身体を分け合ってるし。」
総二郎とあきらは類の言い草に呆れ返り、心配にもなる。いい加減ちゃんと失恋pHF 水解蛋白させなければ類は前に進めないのかもしれないと思えていた。
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